『入浴福祉新聞 第18号』(昭和62(1987)年3月2日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
ヘルパー冥利の訪問入浴介護
広島県世羅西町社会福祉協議会 家庭奉仕員 平川 善恵
広島県のほぼ中央、世羅大地の一角にある私たちの町は人口およそ5000人。
しかし、寝たきり高齢者への入浴サービスは県内でも早くから着手され、昭和55年頃から行ってきました。
浴槽を貸与したり、乗用車にバスタブを積み今日は東のおばあさま、明日は西のおじいさまと訪問を続けて5年がたった昭和60年。
もっと本格的な入浴介護を、と考えるようになっていたときに24時間テレビ『愛は地球を救う』から巡回お風呂カーの寄贈を受けました。
小さな町にどうかな…と思っていましたから全員がよけいに大喜び。
このチャリティ番組がより身近なものに感じたしだいです。
日本人の生活には、入浴が絶対欠かせません。
健康な私たちでも、湯舟のなかのひと時は心身の疲れを忘れさせてくれます。
ところが、入浴は意外に複雑な動作を必要としますから、身体の不自由な方には浴室入浴は不可能です。
誰もが進んで寝たきりになったわけではありませんし、大好きなお風呂に入れない口惜しさは想像を絶することでしょう。毎日お世話をしている家族にしても、入浴が一番たいへんな仕事で、当人の希望をかなえられないため、つらい思いをしているのです。
入浴のお手伝いに伺ったときの家族のホッしたすがりつくような表情…お座敷風呂を楽しんでいるお年寄りの笑顔…。それを見るたびに私たちの心までが洗われる気分です。
まさに“ヘルパー冥利につきる”といえましょう。
現在、世羅西町の在宅寝たきり高齢者は75名が確認されていて、入浴対象者はまだ5名程度で月に20~25回の出勤ですが、同じ町に生きてきたより多くの人生の先輩たちを、入浴で幸福にしてさしあげたい、そんな一心で親切な看護婦さんや熱心な上司と一緒に頑張ってゆきたいと思っています。
※発行当時の原稿をそのまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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